ウクライナのお兄さん
先日、夕方に突然ガチャッとKiitosのドアを開ける音がしたため、
(太陽の子保育園の園長かな?)と思いながら入り口を見ると、
20代ぐらいの白人男性がニコニコしながら立っていました。
あまりにも予想が違ったため面食らってしまい、????と頭は少々パニックを起こし、
「どうしたんですか?」と初対面なのになんだかよくわけの分からない声をかけていました。
「ワタシハ、ウクライナカラキマシタ。ニホンゴヲベンキョウシテイマス」と
片言の日本語で話しかけられたので、
(ん?もしかして、お茶でもしながら会話の練習させて、とか?)などと
ちょっとドキドキしていると、
手に持っていた箱を差し出しながら
「コレハ、ウクライナノ、ハンドメイドガハイッテイマス」
・・・・・・・・・・・・・
(なんだ、売りに来たのか・・・)とちょっとガッカリしていることも知らず、
ウクライナのお兄さんはニコニコと営業スマイル(?)を浮かべながら、
ずっと箱を差し出しているので渋々中を見ることにしました。
箱の中にはマトリョーシカのキーホルダーやボールペン、木でできたブレスレットなどが入っており、
「ステキね~」なんて言いながらも、(んー、イマイチ)などと思っていると、
箱の一番下に花の模様が描かれた笛があるのを発見。
音楽を長年やってきた身としては楽器に反応せずにはいられず、
ガッカリしていたこともイマイチなんて思っていたこともすっかり忘れ、
買う気満々になっていました。
笛のそばにあったリングスタンドのような物にも興味が湧き、何か尋ねると「コマデス」とのこと。
(笛とコマと合わせて千円ぐらいかしら?)などと思いながら「いくらですか?」と尋ねると、
「コマハ2センエン、フエハ3ゼンエンデス」
・・・・・・・・・・・・・
あまりにも予想外の金額を言われたので私の思考は止まり、さらに買う気満々で、
笛も吹く気満々だった私の脳は買わないという選択肢や値段交渉という選択肢を選べず、
「2と3で5ね」とわけの分からないことを言いながら、樋口一葉を渡してしまいました。
樋口一葉を渡してしまったにもかかわらず、
最後はウクライナのお兄さんと握手をしている自分がおり、
ウクライナのお兄さんは「スゴイ!スゴイ!」と「スゴイ」を連発しながら
何度も振り返って去って行きました。
「スゴイ!スゴイ!」が「簡単にお札を出しちゃう日本人って!ププッ!」と言っているように聞こえ、
(世界でまたお人好し日本人が増えてしまった、ガーン・・・)と一人でショックを受けていました。
そんなショックの中、笛を吹いてみると、いかにも民芸品のような音が出て、
自分が国外に住んでいた時のことを思い出しました。
自分もお金が大変だったよな、自分の国以外に住むって大変なんだよね・・・と
しんみりした気持ちになり、
どんな理由で売りに来たのか分からないけれど、
その大変さに寄付をしたんだと思えばいいんだ、とショックから立ち直り、
暖かく優しい気持ちでしばらく思い出に浸りながら♪ピロピロ~と笛を吹いていました。
後日、友人にこの話をしたところ、
「えーっ!5千円も払っちゃったのーっ!?おバカーっ!」と即行言われ、
私の暖かく優しい気持ちが一気に潰されてしまいました。とほほ。